2004 年 2004 巻 770 号 p. 95-106
本研究は, 複関数分類学習ニューラルネットワークシステムを用いた構造物のモニタリングシステムを重力式ダムの漏水データ管理に応用することを試みたものである. 本研究で用いた実測データは, 30年間にわたる実漏水観測データの一部であり, 気温, 水温, 雨量, 水位などの要因関連データも同時に計測されている. その変化曲線は極めて複雑で, データ内には複数のパターンの漏水要因データとの因果関係が混在している. このため, 線形関数を前提とする重回帰分析では, データの正常と異状を分別することができない. しかし, 提案システムは, 構造物の正常さを明瞭に認識できると同時にノイズ混合による異状を認識できることを明らかにした.