2004 年 2004 巻 752 号 p. 79-88
本研究は, 連続体損傷力学を用いて鋼構造物の疲労寿命を予測することを目的に, 部材レベルの損傷解析を行い, 定量的に信頼性の高い値を得るための問題点と対処法について基礎的な考察を試みたものである. 一般に, 損傷力学は塑性歪みの蓄積による損傷の進展を仮定するため, 高サイクル疲労のような巨視的には塑性歪みの発生が認められないケースでは, 微視レベルにおける塑性歪みの蓄積を前提とした理論を設け, 損傷進展に関わる材料定数を適切に決定しなければならない等の問題が残されている. 本研究では, 解析に必要な材料定数を既存の疲労試験結果を用いて決定する手法について検討し, 確率論的な観点による鋼構造部材の疲労寿命予測の可能性について検証した.