2002 年 2002 巻 710 号 p. 141-151
鋼橋が腐食すると, 断面積が減少し残存耐力も低下する. しかし, 現在その健全度を適切に評価する手法は確立されていない. そのため, 腐食が比較的軽微でも取り替えられる場合がある. 最適な維持管理を行うためには, 腐食が橋梁の耐荷力に及ぼす影響を明らかにすることが重要である. 本研究では, 腐食が原因で取り替えられた実鋼橋について, 腐食状況を調査した後, 腐食が集中している桁端部に着目し, そこから供試体を取り出し載荷実験を行うとともに, 弾塑性有限変位解析を行うことによって耐荷力の検討を行った. その結果, 腐食の進行とともに耐荷力は低下するが, 設計耐力に比べて余裕があること, 残存耐力 (最大荷重) は, 柱としての最小断面の残存断面積に密接な関係があること等が明らかになった.