土木学会論文集
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「決め方」と合意形成
社会的ジレンマにおける利己的動機の抑制にむけて
藤井 聡竹村 和久吉川 肇子
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2002 年 2002 巻 709 号 p. 13-26

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抄録

社会資本整備が人々にもたらす満足感はその整備水準だけでなく, その計画の「決め方」, すなわち, 計画策定プロセスにも依存する. そしてその傾向は, 社会の中の一部の人々の“犠牲”が社会全体の公共利益 (あるいは, 社会的厚生) の増進に必要な状況 (すなわち, NIMBY問題, あるいは, ステップレベルジレンマを内包する社会状況) でより顕著となる. 本研究では,「決め方」と人々の満足感との間の因果関係に関するいくつかの仮説を提案し, それを検証するために仮想的なシナリオ実験 (n=178) を行った. 実験の結果, 提案した諸仮説に一致して, 公共的な利益を明示的に議論することを通じて得られる社会的決定は, 多数決やくじ引きによる決定よりも高い手続き的に公正感と満足感を与えると共に, 人々の利己的動機の強度を低下させることが確認された.

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