2001 年 2001 巻 689 号 p. 85-100
ライフサイクルを考慮した性能照査設計や既存構造物の維持管理や補修においては構造物の長期間にわたる力学性能の変化を定量的に評価する必要がある. 本論文では, 腐食や補修による部材断面の変化に起因した鋼構造物の供用期間における力学性能変化を直接的に評価するため, 部材断面の変化量を荷重や変位などと同等の制御パラメータとして扱いうる新しい構造解析手法を開発した. この解析手法によると, 腐食や補修による鋼構造物の力学性能変化を建設当初から時系列的に直接かつ正確に把握できるうえ, 地震などの大きな外乱による損傷や補修などの履歴も考慮でき, 構造物の全供用期間における統一的な力学性能評価が可能となる.