1998 年 1998 巻 608 号 p. 31-47
富栄養化した東京港を対象に, 水質・底質結合モデルを用いて, 水質・底質・底泥からの栄養塩溶出フラックスのシミュレーションを実施し, 実測値と照合した結果, 底泥からの栄養塩溶出フラックスの暖候期における増大など, これらの時空間変化の特性が再現された. 次に流人負荷を削減した場合に対する水質・底質・底泥からの栄養塩溶出フラックスの応答について検討した結果, 流人負荷量の減少に対して, これらは線形に減少した. この理由として, 東京港は, 河川からの流入負荷が集中し, 流入負荷の影響をいち早く受け, 滞留時間が物質の化学・生物学的な特性に影響されにくいためと考えられた. また流入負荷量の削減率に比べてこれらの減少率は小さくなり, これらは background 濃度の影響のためと判断された.