1998 年 1998 巻 592 号 p. 37-52
兵庫県南部地震で被災した鉄筋コンクリート橋脚の多くは, じん性の重要性が考慮されていない1960~70年代の耐震基準で設計されたものである. そのため, 被災した橋脚と同じ耐震基準で設計された既存橋脚の耐震補強が急務となっている. 鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強法として, 施工性を考慮して, 炭素繊維シート巻き立て工法が注目されている. 本研究では, 地震時保有水平耐力法に基づき横拘束効果を耐震補強に取り入れるために, 炭素繊維シートで横拘束されたコンクリート柱試験体の一軸圧縮試験を行い, コンクリートの応力度-ひずみ関係を求めた. さらに, 応力度~ひずみ関係に影響を及ぼす要因を定量化し, 炭素繊維シートで拘束されたコンクリート柱の応力度~ひずみ関係を提案する.