1997 年 1997 巻 565 号 p. 1-10
流域地形の三角形要素網表現をもとに流域地形に即した分布型降雨流出モデルを構築する. まず, 三角形要素網による流域地形表現手法をもとに自動分割した斜面要素ごとに斜面勾配・斜面幅を算定し, それらを利用して三次スプライン補間関数を構成して, 斜面勾配・斜面幅が連続的に変化する斜面要素モデルを構成する. 流域地形は, 縦断形状・平面形状ともに三次スプライン補間関数によって表現された斜面要素群とそれらを繋ぐ河道網によって表現することになる. 次に, そこでの雨水の流れを, 中間流と地表面流とを統合的に表す流量流積関係式を用いた kinematic wave モデルで追跡する. 本手法を東京大学愛知演習林白坂流域に適用し, 個々の斜面形状の表現形態が流出シミュレーション結果に大きな影響を及ぼすことを示した.