1996 年 1996 巻 547 号 p. 117-125
最近, 山岳トンネルの地盤調査に比抵抗高密度探査が実施されるケースが増加し, 地山比抵抗の定量的評価に基づくトンネルの地山区分手法の必要性が高まっている. 本論文では花崗岩供試体の比抵抗測定行い, 岩石の比抵抗へ及ぼす間隙水の比抵抗, 岩石構成物質の比抵抗及び膠結係数の影響を調べるとともに, 岩石の比抵抗と弾性波速度がそれぞれ間隙率と一義的な関係にあることを用いて, 地山比抵抗を弾性波速度に換算する手法を提案した. 筆者らの提案手法に対して, 新鮮な花崗岩地層及び砂岩, 頁岩と礫岩の互層からなる堆積岩地層において, 比抵抗検層データと速度検層データを用いて検証した. さらに, 実際の鉄道トンネルにおいて比抵抗と弾性波速度の定量的評価による地山区分を行い, 実績支保パターンと比較することによってその適用性を確認した.