1995 年 1995 巻 520 号 p. 67-76
近年において, コンクリート中におけるイオンの移動を電気的にコントロールすることにより, コンクリート内部の構造物の劣化因子となる有害イオンを除去し, 長期間の共用により低下したコンクリートのpHを再び上昇させる試みがなされ始めている. しかし, 通電によるイオンの移動メカニズムや, 電気的な手法の有用性等に関しては, 曖昧な点が多いのが現状である. 本文は, 塩化物イオンを含んだ鉄筋コンクリート部材から, 電気的手法によりこれを除去し, 内部鉄筋の電気化学的性質を把握することにより, 電気的な脱塩・再アルカリ化工法の有用性についての実験的な検討を行ったものである.