1995 年 1995 巻 513 号 p. 17-25
異方弾性体内のき裂の折れ曲がり瞬間時のエネルギ解放率を, 経路独立なE積分を用いて, 有限要素法により数値解析を行った. 異方弾性体では, モードIの載荷状態でもモードIIの影響が現れることに注意し, 本論文では, 基本的な問題として, 無限板中央にき裂を有し, き裂面に垂直な無限遠一様荷重を受けるモデルを解析した.
エネルギ解放率が最大となるき裂の折れ曲がり角は, 異方性方向によらず, 等方弾性体同様, き裂が直進する場合の方向とほぼ一致したが, 値そのものは異方性の違いにより大きく変化し, 主異方性軸方向が主き裂面方向に一致する場合を最大とし, 垂直な場合を最小とする正弦関数的な関係を呈することがわかった.