溶接学会誌
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Cr系不銹鋼板の熔接性(第2報)
通常のC量を有する13Cr不銹鋼板熔接部の熱処理について
安藤 精一
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1953 年 22 巻 3 号 p. 83-89

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抄録

以上簡単に通常のC量(0.12%程度)を有する薄13Cr不銹鋼板(2.3~4mm)の熔接部の熱処理効果について報告した.総括すると次のごとくである.
1)共金熔接においては,Ar"変態を完全におこさせてより700℃近傍の温度で極短時間後熱すれば,著しく熔接部の靱性を改善することが出来る.Ar"変態開始前あるいは過程において700℃に後熟した場合は短時間加熱の効果は少い.これらの事実を炉中による全体加熱およびガスバーナーによる局部加熱の兩者においてたしかめた.
2)Austenite棒で熔接する場合においても同樣の熟処理方法が効果的である.たゞし熟処理を施さざる場合に縦熔接彎曲試驗においてビード亀裂を生ずるような不安定Austenite棒を使用した場合は安定Austenite棒の場合に比し熱処理効果は少い.
3)予熱のみにては熔接部の靱性を得ることは困難のようである.
4)後熱の効果とAr"変態の関係について簡単な考察を行った.
以上の実驗は極めて不備であり,かつ細部についての検討には充分でない点が多い.識者の御叱正を期待して己まない.

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