日本臨床麻酔学会誌
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数量化理論II類による脊椎麻酔中の鎮静に関する要因分析
田中 明美竹内 幹夫津田 喬子宮野 英範青地 修
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1989 年 9 巻 1 号 p. 64-72

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抄録

脊椎麻酔を行った108症例を対象として, 各種鎮静法による効果の比較検討および術中の鎮静に関与する要因の相対的な影響度を数量化理論II類により分析した. その結果, 脊椎麻酔そのものによる鎮静効果がジアゼパムや笑気といった鎮静薬の効果を上回ることが明らかになった. また周術期の任意の一時点における鎮静度は他の時点における鎮静度と高い相関を示し, 鎮静度には患者個々の反応性すなわち心理学特性が深く関与することをうかがわせた. この結果は, 脊椎麻酔時に良好な鎮静を得るためにはいたずらに鎮静薬に頼るのではなく, (1)手術や麻酔について十分に説明し, 不安の除去に努め, (2)患者の心理学的特性を理解した上で前投薬の適量を選択し, (3)必要ならば, 全身麻酔に変更する等の慎重な配慮が望まれることを示唆している.

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