2022 年 42 巻 4 号 p. 360-365
超音波画像技術の進歩と抗血栓療法の普及によって,超音波ガイド下腹壁ブロックは臨床で多用されるようになった.これまで複数のアプローチが生み出されてきたが,これらを手術創に合わせて正しく選択するのは意外に難しい.効果的なブロックを行うためには,脊髄神経前枝間の交通枝や,薬液の広がりを制限する半月線の存在を理解し,液性剥離のテクニックを駆使することが重要である.本稿では,腹壁ブロックとして定着した腹横筋膜面ブロック(TAPB)と腹直筋鞘ブロック(RSB)を効果的に行うために必要な知識について解説したい.