日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第35回大会 教育講演
麻酔科専門医が知っておきたい急性腎障害関連の基礎知識
石川 晴士
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2016 年 36 巻 5 号 p. 550-557

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抄録

現在,急性腎障害の主な国際的診断基準は3つ存在し,これらに基づく周術期急性腎障害の発生頻度は移植手術後で最も高く,次いで心臓・大血管手術,心臓以外の臓器手術,その他の非心臓手術が続く.急性腎障害のリスクは多岐にわたり,慢性腎臓病,高血圧,末梢血管障害などの併存疾患,造影剤などの術前使用薬物,人工心肺などの手術中の介入,大量出血などの手術中の病態があげられる.周術期における麻酔科医の役割には急性腎障害の予防があり,①血管内容量を適正に保つ,②腎灌流圧を適切に保つ,③腎毒性のある薬物を避けることにまとめられる.乏尿が麻酔中に起こりやすい病態であることを理解し,乏尿に対してはリスクに基づいた対処が必要である.

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© 2016 日本臨床麻酔学会
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