日本臨床麻酔学会誌
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周術期の危険な不整脈診断のポイントと抗不整脈薬の上手な使い方 (第2回)
特殊不整脈・状態と麻酔管理上の抗不整脈対策 (1)ブルガダ症候群  (2)QTc延長とトルサデポアン
大西 佳彦
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2012 年 32 巻 4 号 p. 601-605

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抄録

  ブルガダ症候群は心電図の右胸部誘導(V1-V3)における特徴的なST上昇と,そこから誘発される心室細動(VF)を主徴とする.この突然死を起こす遺伝的疾患は若い男性に多い.ブルガダ症候群のVFを予防するためにはICD植え込み術が唯一の治療法となる.QT延長症候群は,その名のとおりQT時間の延長(QTc>440msec)からトルサデポアン(torsades de pointes)という多型性心室頻拍からVFを引き起こす疾患である.その原因には遺伝による先天性と薬剤性などの後天性があげられる.治療としてはβ遮断薬やメキシレチン,ベラパミルが使用されるが,VFの既往がある場合にはICD植え込みが適応となる.ICD植え込み症例で麻酔管理を行うときには,ICD機能を停止して胸部に除細動パッチを装着する.

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© 2012 日本臨床麻酔学会
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