日本臨床麻酔学会誌
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講座
麻薬は虚血性脊髄障害を増悪させない
松本 美志也白澤 由美子石田 和慶福田 志朗山下 敦生
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2012 年 32 巻 3 号 p. 359-365

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抄録

  胸腹部大動脈瘤手術時の麻酔で麻薬が虚血性脊髄障害を増悪させるか否かに関して議論がある.Kakinohanaらは,ラットの一過性脊髄虚血モデルで虚血再灌流後のモルヒネくも膜下投与による虚血性脊髄障害増悪の可能性を報告した.しかし,障害を増悪させるモルヒネの量は鎮痛効果を発揮する量の10倍以上である.一方,われわれは家兎の一過性脊髄虚血モデルで臨床使用量の2倍の大量フェンタニル(100μg/kg)あるいはレミフェンタニル(1μg/kg/min)と0.5MACのイソフルラン併用による全身麻酔に虚血性脊髄障害増悪作用のないことを報告した.麻薬の極端な大量投与が虚血性脊髄障害を増悪させる可能性は否定できないが,臨床使用量の範囲では増悪させる可能性はないと思われる.

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© 2012 日本臨床麻酔学会
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