2009 年 29 巻 5 号 p. 702-707
術中・術後における下肢の鎮痛に関しては, 従来硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔が主体であった. しかし近年, 整形外科領域では, 肺血栓塞栓症発生予防のために, 周術期に抗凝固療法が併用される症例が増えており, 硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔の代替手段として下肢末梢神経ブロックを利用する機会が増えている. また, 下肢末梢神経ブロックを利用することで, 持続硬膜外鎮痛法における硬膜外膿瘍の危険を避けることができ, 高齢者や心・血管系に合併症をもつハイリスク患者に対しても大きな循環変動をきたすことなく安全に鎮痛が可能である. 整形外科領域におけるロピバカインを使用した末梢神経ブロックについて臨床的に概説する.