2008 年 28 巻 5 号 p. 787-791
先天性横隔膜ヘルニア (CDH) 合併児では, 啼泣やマスク換気による胸腔内消化管への空気の流入や, 意識下挿管のストレスによる肺血管抵抗の増大を避けるため, 当院では無呼吸状態で娩出後, ただちに気管挿管し, 高頻度振動換気下に一酸化窒素吸入療法を行っている. レミフェンタニルは胎盤通過性が高く, 胎児麻酔において有利な可能性がある. CDHを合併する予定帝王切開術9症例をプロポフォールとレミフェンタニルによる全静脈麻酔で行った. レミフェンタニルは子宮漿膜切開時より胎児娩出時まで増量した. この麻酔では, 娩出後の啼泣・呼吸がなく, 娩出児の気管挿管も容易で, 有用な方法と思われた.