鹿茸と血液成分を電気泳動学的に比較した結果, 鹿茸タンパク質成分には血清由来のタンパク質成分が多く認められた. SDS-PAGEによって検出できた鹿茸全成分および鹿茸皮膚タンパク質の3成分についてN末端アミノ酸配列を決定し, 鹿茸特有タンパク質は Cuticular collagen とCollagen (K-Q-P-G-G-P-G-G-P-G-G-G-G-G) および Fibrillarin (K-Q-P-G-G-P-N-G-P-G-G-R) と同定した. また, 皮膚特有タンパク質は Hypothetical protein (S-L-P-N-A---L-Y) であった. Type IV 2-DEで検出された2成分の鹿茸特有タンパク質を含む, 計4成分の鹿茸主要成分についてMALDI TOF-MSで解析した結果, 鹿茸主要成分は Keratin およびSerotransferrin であった. 鹿茸特有タンパク質は Collagen alpha 2 (I) precursor および Keratin であり, 鹿茸成分は繊維状タンパク質が多く局在する組織であると推測された.