生物物理化学
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未濃縮髄液におけるオリゴクローナルIgGバンドのスクリーニング法
中津 雅美新井 雅信桐生 加代子冨樫 明子芝 紀代子
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1999 年 43 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

多くの多発性硬化症(MS)患者髄液に見られるオリゴクローナルIgGバンド (OGB) の検出法を検討した. アガロース電気泳動法とブロッティング法を用い, 2, 3の工夫を加えることで, 髄液中のOGBの検出可能となる条件を設定した. 第一は泳動後のゲルをブロッティング緩衝液に平衡化する操作を省略した. 第二にアルカリフォスファターゼの発色液はBCIPとNBTを適切な割合で使用することで染色感度を高められた. 本法は, 免疫固定法と比較して約30倍の検出感度が得られた. 本法を臨床応用し, MS 8例を含む83例中, 本法では11例 (MS 8例, MS疑い2例, ウイルス性脳炎1例) がOGB陽性であったが, 25倍濃縮した髄液を用いる免疫固定法では4例 (MS) が陽性, 4例 (MS 2例, MS疑い2例) が疑陽性であった. 本法は未濃縮髄液のOGBのスクリーニングに有用な方法と考えられた.

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© 日本電気泳動学会
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