日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
ISSN-L : 0389-5386
補綴前処置としての矯正的挺出と歯周外科の有効性
内田 剛也
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 50 巻 4 号 p. 577-580

詳細
抄録

症例の概要: 患者は45歳の女性で, 21の違和感と67欠損による咀嚼障害を主訴として来院した. 211にはマージンの不適合な陶材焼付鋳造冠が装着されており, 67欠損の対合歯列は歯槽骨を伴う挺出を示し咬合平面が乱れていた. 処置として, 全顎的な歯周組織の改善をはかり21にポケット除去を目的とした矯正的挺出を行い, 左側臼歯部の咬合平面を是正したのち, 全顎的な審美修復を行った. 補綴処置終了後10年6ヶ月たっているが経過良好である.
考察: 補綴前処置として矯正的挺出を行うことは単に審美的な観点からだけでなくプラークコントロールの観点からも有用である.
結論: 補綴前処置として矯正的挺出と歯周外科処置を行うことによって, 歯間乳頭を含めて歯周組織を長期にわたり健全に維持することができた.

著者関連情報
© 社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top