日本補綴歯科学会誌
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原著論文
2016から2020年度の社会医療診療行為別調査からみた補綴関連検査の実施状況の推移
佐藤 裕二古屋 純一下平 修
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2022 年 14 巻 2 号 p. 158-164

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抄録

目的:歯冠補綴時色調採得検査,有床義歯咀嚼機能検査,舌圧検査が健康保険に導入された.そこで,2016年以降の補綴関連検査の臨床現場での実施状況を明らかにすることを本研究の目的とした.

方法:2016から2020年度に行われた社会医療診療行為別調査をもとに,検査の実施件数を調査した.関連する診療行為に対する,歯冠補綴時色調採得検査の割合,顎運動関連検査の割合,有床義歯咀嚼機能検査の割合,舌圧検査の割合を比較した.また,医療技術評価提案の試算と比較検討した.

結果:歯冠補綴時色調採得検査は前回調査(2018年まで)に比べて微増(8.0%)したが,試算の40%より少なかった.顎運動関連検査は実施率が11%程度で一定であった.有床義歯咀嚼機能検査は2016年にはほとんど無かったが,2018年(1.9%),2020年(2.9%)と増加したが,試算の7.5%より少なかった.舌圧検査は2016年から必要な症例には複数回算定されていたが,試算の12 ~13%であった.2018年からは適応が拡大し,大幅に増加した.

考察および結論:新規に導入された検査は増加傾向にあった.しかしながら,医療技術提案書で予想された実施率より,少ないことから,今後,普及を図る取り組みを継続するとともに,実施率の継続的な点検評価が必要であることが示唆された.

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© 2022 公益社団法人日本補綴歯科学会
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