日本補綴歯科学会誌
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原著論文
臼歯部人工歯の摩耗が水平被蓋および小窩裂溝におよぼす影響
千葉 ひかり
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2009 年 1 巻 2 号 p. 166-174

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抄録

目的:義歯機能を長期に保持するためには,摩耗が生じても咀嚼機能を損なわない人工歯が必要である.本研究は摩耗による臼歯部人工歯の形態変化を観察し,水平被蓋と小窩裂溝の経時的変化について検討した.
方法:実験試料として,アクリリックレジン歯3種,硬質レジン歯3種を選択した.上下顎第一小臼歯から第二大臼歯まで排列した試料を用い,水平移動式試験装置にて8×104回まで摩耗試験を行った.計測項目は水平被蓋部の投影面積,小窩裂溝部の面積,人工歯重量とし,試験前および試験回数1×104回毎に計測を行った.
結果:水平被蓋部面積の変化はアクリリックレジン歯と硬質レジン歯で有意差は認められなかった.小窩裂溝部面積はすべての人工歯において2×104回まで緩除な減少を示し, 5×104回以降では人工歯間に有意差が認められた.バイオエースレジン歯20°(A-Bi), エンデュラポステリオ(H-En),試作人工歯(H-Tr)では摩耗後でも水平被蓋,小窩裂溝ともに保存される傾向にあった.全ての人工歯において,重量減少率は人工歯間で異なった.
結論:人工歯の硬度に依らず,水平被蓋と頬舌径と小窩裂溝が十分に付与されている人工歯が摩耗後にも水平被蓋および小窩裂溝が保存されることが示唆された.

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© 2009 社団法人日本補綴歯科学会
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