日本農村医学会雑誌
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研究報告
高次脳機能障害者の生活を共にするきょうだいへの影響に関する研究
現状と看護の方向性
渡邊 正樹南部 泰士柳屋 道子
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2016 年 65 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

 高次脳機能障害者の生活を共にするきょうだいへの影響に関するについて明らかにし,看護の方向性を考察する目的で本研究を行なった。医学中央雑誌Web及びCiNiiにより,1983年から2015年において,「高次脳機能障害」「看護」「きょうだい」をキーワードに検索を行ない,研究目的および「障害」「きょうだい」への影響に着目し,目的に一致した文献26件を対象に分析を行なった。高次脳機能障害者の研究は,社会学,教育学等の研究領域において,主介護者あるいは家族に焦点をあてた介護負担やストレスに関する研究が多かった。また,高次脳機能障害者の看護に関連した研究をみると,高次脳機能障害者のセルフケアや転倒・転落に関する研究,高次脳機能障害者を支援する看護師の困難感や否定的感情に関する研究,家族や主介護者の介護肯定感あるいは負担感に関する研究が行なわれていた。いずれにおいても,高次脳機能障害者のきょうだいに焦点をあてた研究は行なわれていなかった。高次脳機能障害者のきょうだいは共に生き,共に老いる存在であり,親や子とは立場が異なるため,情報的・情緒的サポートが重要である。高次脳機能障害者の特性及び他学問領域からの知見を踏まえ,家族としての主介護者やきょうだいに焦点をあてた看護が望まれる。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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