2003 年 52 巻 2 号 p. 165-171
われわれは閉経女性にとってスポーッ活動が骨密度 (BMD) の維持や骨折の予防に寄与しているかを明らかにすることを目的に, 対象者を現在スポーツをしている (A群), 若いときスポーツをしていたが現在はしていない (B群), 今までにスポーツはしたことがない (C群) の3群に分け, 腰椎と大腿骨近位部BMD, X線上の圧迫骨折について比較検討した。対象はBMDへ影響を与える要素のない361例とした。合わせて農業従事閉経女性141例に限定した検討も行った。全対象中A群30例, B群111例, C群220例であり, 農業従事閉経女性はA群11例, B群41例, C群89例であった。まず3群問の腰椎と大腿骨近位部BMDをZ値で比較した。全対象において腰椎では有意差を認めなかったが, 大腿骨近位部では転子部BMDにおいてA群とC群間およびB群とC群間でともにC群が有意に低く, totalBMDにおいてもA群とC群問でC群が有意に低かった。これは農業従事閉経女性においても同様の結果であった。次に圧迫骨折を有するものを3群において比較した。全対象ではA群30.0%, B群36.3%, C群47.7%であり, 農業従事閉経女性ではA群36.4%, B群29.3%, C群52.8%であった。閉経女性にとってスポーツ活動が骨密度の維持や圧迫骨折などの骨折の予防に寄与している可能性が示唆された。農業従事閉経女性においても, その目的のために農作業とは別にスポーツ活動を行うべきである。