日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
自殺死亡率と経済変動要因に関する重回帰分析結果について
三好 久視真田 勝弘
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 41 巻 5 号 p. 1046-1053

詳細
抄録

わが国の自殺死亡率を, 時系列的に観察すると, 戦前戦後を通じて高値と低値を繰り返す, いわば循環変動が存在する。自殺は社会環境の変化に対し, 時により精粗に反応する。戦前の農村恐慌時代 (昭和7~8年) に高水準, 大戦中は異常に低い値を記録, 戦後の神武景気に高騰, 日本経済の安定化とともに低下(昭和40年代), 以後比較的に低値で推移したが昭和58年に急激に上昇し社会問題となった。
またわが国の自殺の特異的な現象として, 都市部よりも農村に高く, さらには兼業農家より専業農家により高い。都市に高い欧米先進国の状況と軌を一にしていない。
我々は昭和60年のデータを中心に県別訂正自殺死亡率を目的変数, 社会経済要因として県別一人当たりの所得指標, 県外転出比, 自殺の主な動機として取り上げられる, 病苦, 精神異常の指標として病死者数, 精神異常者数等を説明変数として重回帰分析を行った。
その結果, 社会経済要因を因子とする重回帰式が予測子として成立することが証明された。

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top