日本臨床免疫学会会誌
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WS5-4 血管炎症候群関連腎病変の免疫評価
岩田 恭宜和田 隆志
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2016 年 39 巻 4 号 p. 356b

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抄録

  小型血管炎を病因とする腎病変は,組織学的に糸球体への半月体形成を認めることが多く,臨床的に急速な腎機能低下を来す.他の腎炎症候群に比し予後が悪く,その病態の解明は重要な課題である.これまで,半月体形成性腎炎(Cres GN)を含めた腎炎症候群で浸潤マクロファージ(Mp)と腎予後,蛋白尿ならびにサイトカイン・ケモカインとの関連を示してきた.ことに,間質内のfoam cell浸潤は,腎予後との相関が認められた.さらに,最近診断したCres GNでは,以前の症例に比較し,診断時の半月体形成率,間質の炎症細胞浸潤は低下していた.以前に比し,早期に診断される症例が増加していると考えらえた.その中でも,半月体形成率が50%以下,Cr値が3.0 mg/dL以下の症例は,腎予後,生命予後とも改善が認められた.これらの結果は,その病態にMpなどの炎症が強く関与し,予後が悪いとされるCres GNにおいても,早期の診断・治療が,腎予後,生命予後を改善する可能性を示していた.一方で,Cres GNの疾患早期には,半月体および糸球体にCD163陽性免疫抑制型マクロファージが集簇していることが報告された.さらに,尿中可溶型CD163がCres GN症例に特異的に上昇し,疾患を早期診断しうることが示されている.本セッションにおいて,Cres GNの臨床的検討と,炎症・免疫に関する近年の知見について概説したい.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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