日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-007 当院で経験した分類不能型免疫不全症の妊娠・出産に関する検討
江川 真希子今井 耕輔満生 紀子森尾 友宏宮坂 尚幸
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2015 年 38 巻 4 号 p. 351a

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抄録

  【目的】分類不能型免疫不全症(CVID)は成人例も多いが,妊娠・出産に関する報告は少ない.しかし今後,γグロブリン補充療法(IVIG)によって生命予後が改善されたことや診断技術の向上に伴って,妊娠・出産例は増加すると思われ,どのような周産期管理が望ましいか検討した.【方法】2007年から当院で経験したCVIDの妊娠・出産3名,計7妊娠について,IVIGの方法,IgG値の推移,産科的合併症,周産期予後について診療録から後方視的に検討した.【結果】全例に妊娠期間を通してIVIGが行われ,投与量の中央値は190.5mg/kg(76-546)であった.IgGトラフ値の中央値は627mg/dl(233-1232mg/dl)と妊婦によって様々で,妊娠前からの投与量・投与間隔とも変更しなかった症例ではIgG値は妊娠後期にかけて低下し,増量しても投与間隔を短縮しなかった症例ではIgG値は増加しなかった.増量し,かつ投与間隔を短縮した症例のみ妊娠後期にIgG値の増加を認めた.上気道感染・副鼻腔炎を全例で認めたが,重篤な感染症はなかった.産科的合併症として1例の死産,3例の妊娠後期での羊水過少を認めた.出生児は生後1ヶ月の時点での順調な発育を確認した.【考察】定期的なIVIGによって,重篤な感染症は認めなかったが,妊婦によってIgGのトラフ値はさまざまであった.妊娠後期には母体の体重増加や胎児への移行を考えて投与法を検討する必要がある.また羊水過少にも十分な注意が必要である.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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