日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P4-005 自己免疫性膵炎マウスモデルを用いた膵線維化の検討
春田 郁子樋口 智昭柳沢 直子清水 京子古川 徹八木 淳二
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2015 年 38 巻 4 号 p. 331a

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抄録

  【目的】1型自己免疫性膵炎(AIP)はIgG4関連疾患の膵病変と考えられる.マウスにEscherichia coliを反復投与しAIP様の膵病変を生じるモデルを用い,AIPの特徴である膵線維化に関して検討した.【方法】C57BL/6マウス腹腔内にE. coliを8週投与し,投与終了後マウスをsacrificeし,膵組織と血清を検討した.コントロールはE. coli投与群と同様のスケジュールで腹腔内にPBSの投与を行い,両群間で比較した.【結果】E. coli群では投与終了後1週間から1-2ヶ月後で膵の線維化を伴う小葉の委縮と炎症細胞浸潤を認めた.投与終了後6ヶ月では炎症の消退と脂肪織置換を認め,10-12ヶ月では委縮腺房の腺管周囲の線維化の残存を認めた.PBS群では経時的な膵の細胞浸潤や線維化は生じなかった.また,E. coli投与群では高γグロブリン血症,抗lactoferrin抗体,抗carbonic anhydrase-II抗体の上昇を認めた.免疫染色では,委縮腺房細胞,間質の炎症性浸潤細胞の多くはTGFβ陽性で,線維化部位にはcollagen IV,fibronectinの染色性を認めた.更に炎症細胞浸潤部にはMMP2陽性細胞を認め,線維化を伴う細胞浸潤部でiNOS陽性細胞を認めた.膵実質の炎症の消退とともに,TGFβ陽性細胞の発現も著明に減少した.【考察】AIP様の膵病変を来すE. coli投与群では,TGFβのupregulationによるcollagen, fibronectin合成促進と,細胞浸潤部の酸化ストレスなどが線維化に関与している可能性が示唆された.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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