日本臨床免疫学会会誌
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専門スタディーフォーラム
専門スタディーフォーラム3-3 MΦ,樹状細胞 関節リウマチにおけるマクロファージとTNF誘導制御性蛋白
松本 功井上 明日香高井 千夏住田 孝之
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2015 年 38 巻 4 号 p. 272

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抄録

  関節リウマチ(RA)において,マクロファージはTNFαやIL-6などの炎症性サイトカインを産生し,病態に強く関与していると考えられる.抗シトルリン化蛋白抗体などの自己抗体が免疫複合体を形成し,マクロファージの受容体であるCD16を刺激することにより上記サイトカインを産生すると考えられているが,これら炎症性蛋白であるTNFα-IL-6の相互リンクや病因の詳細なメカニズムは不明点が多い.我々は関節炎モデルにおいて強発現している制御性蛋白TNFα-induced adipose related protein(TIARP)を同定した.この分子はマクロファージに強く発現しているが,欠損マウスは関節炎を自然発症し,その病態メカニズムが明らかになってきている.また,この分子はヒトでも同様にRA患者末梢血で有意に発現が上昇し,その強発現分画は単球CD14 bright細胞であること,ヒト単球をTNFαで刺激した場合に出現すること,また生物学的製剤への反応性では,末梢血においてTNFα阻害薬,IL-6阻害薬で有意に発現低下するが,CTLA-4 Igでは変化が認められないことが判明した.ヒトでの発現形態もマウスと近似し,生物学的製剤使用下においても発現が変化する蛋白であることより興味深い蛋白であると考えられる.本講演では,もう1つのTNF誘導蛋白であるTNFAIP3(A20)との比較解析を介して,RA病態におけるマクロファージの役割,また炎症性サイトカインとのリンクについて論じる.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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