2015 年 38 巻 4 号 p. 269
自己免疫性膵炎(AIP)は現在ではIgG4の関与する1型と好中球病変を主体とする2型に分類されている.1型AIPはIgG4関連疾患の膵病変とされており,日本では2型は稀とされている.IgG4の役割をはじめとして1型AIPを含むIgG4関連疾患の病因病態は未だ不明な点が多い.制御性B細胞についてはいくつかのサブセットが報告されているが,1型AIPでは,CD19+CD24highCD38highBregは,疾患の活動を抑制するために反応性に増加しており,CD19+CD24highCD27+Bregの減少が,1型AIPの病態に関与している可能性があると考えている.IgG4産生経路については,獲得免疫の系ではIL-10を産生するICOS陽性の制御性T細胞が関与し,自然免疫を介する系ではNODもしくはToll-like receptor signalingからBAFFによって産生が促されると考えている.しかしながらIgG4関連疾患におけるB細胞の役割はまだ解明されつくされていない.今回は制御性B細胞,IgG4産生機序を中心にIgG4関連疾患(特に1型自己免疫性膵炎)におけるB細胞について紹介する.