日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-008  限局性強皮症における血清および皮膚組織中miR-196aの発現低下と線維化機序の関連
牧野 貴充神人 正寿江藤 光彦山根 惠太郎梶原 一亨牧野 雄成福島 聡尹 浩信
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2014 年 37 巻 4 号 p. 364b

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抄録

  限局性強皮症は皮膚と皮下組織に及ぶ硬化性病変,線維化を生じる疾患であり,自己免疫疾患の1つと考えられている.しかし線維化とコラーゲン蛋白の増生の機序は依然解明されていない.本研究では,micro RNAに注目し,皮膚組織から抽出したmicro RNAよりPCR array解析,組織のin situ hybridizationを行い,限局性強皮症の病変部皮膚におけるmiR-196aの発現低下を認めた.また,健常ヒト皮膚培養線維芽細胞にmiR-196a inhibitorを導入すると,Ι型コラーゲン蛋白の発現が増加した.さらに,健常人と比較し,限局性強皮症患者の血清においても同様に,miR-196aの発現低下を認めた.つまり,miR-196aの発現低下は,標的蛋白であるΙ型コラーゲンの合成増加を来たし,結果的に皮膚組織での線維化につながり,限局性強皮症の発症機序の1つと考えた.また,血清miR-196aは診断マーカーとなり,今後線維化病態の制御メカニズムが解明できれば,miRNAを用いた新規治療薬となる可能性も考えられた.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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