日本臨床免疫学会会誌
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W5-4  SLEモデルマウスにおけるFcレセプターを介した単球の活性化と自己抗体の産生について
天野 浩文河野 晋也金子 俊之林 青順安藤 誠一郎渡邉 崇仲野 総一郎出井 章三広瀬 幸子髙崎 芳成
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2012 年 35 巻 4 号 p. 309b

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抄録

  SLEの疾患モデルであるBXSBマウスでは,TLR7の重複を認めるYaa遺伝子の存在下においてSLE類似の腎症を発症する.それに伴い末梢血での単球増加と単球分画の変化が生じる.我々は,BXSBマウス末梢血の単球分画によってIgGのFcレセプター(FcγR)の発現が異なることを発見し,特にGr-1単球分画においては,刺激性FcγRであるFcγR III, IVを高発現しており,抑制性FcγRであるIIb(FcγRIIb)は低発現していることを見出した.刺激性Fcレセプターの共通γ鎖を欠くBXSBγ鎖欠損マウス(BXSBγ−/−)およびBXSBマウスのFcγRIIbを野生型C57BL/6(B6)に置き換えたマウス(BXSB FcγRIIbB6/B6)では,明らかな末梢血の単球増加抑制を認め,Gr-1分画で顕著であった.一方,B6マウスにおいてFcγRIIbを欠損するYaaマウス(B6.FcγRIIb−/−Yaa)では,血清中の抗DNA抗体をはじめとする自己抗体の上昇と末梢血でのGr-1単球分画の単球増加を認め,SLE類似の腎症を発症した.BXSBマウスの脾臓胚中心では,FcγRIIbの発現が低いことが知られており,自己抗体の産生につながっていることが考えられる.さらにBXSBマウスの血清中ではIgG2aが高濃度で存在しており,IgG2a免疫複合体の存在がBXSB末梢血の単球上のFcγRIIIを介してGr-1分画への分化成熟を促すことで腎炎の発症へとつながると考えられる.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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