日本臨床免疫学会会誌
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脾臓摘出後5年目の特発性血小板減少性紫斑病患者に発症した脳膿瘍
高橋 徹吉本 満川人 由美子森 康喜斎藤 定三千賀 孝治金子 貞男今井 浩三
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2001 年 24 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

脾臓摘出後にともなう易感染性は良く知られている.今回我々は,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)にて脾臓摘出術を受けた5年後に発症した脳膿瘍の1症例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.発熱,見当識障害,にて1999年8月に入院した.患者は1988年より2型糖尿病で通院していた. 1992年にITPと診断され, 1994年に脾臓摘出術を受けた. 1999年2月にはIgG, λ型の良性単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)が発見された.入院後高熱が持続したが,血液培養は陰性で,抗生剤の投与は無効であった.右不全麻痺と意識状態の悪化を認め,頭部CT検査を施行したところ,リング状に造影される低吸収域が左頭頂葉から後頭葉にかけて認められ,脳膿瘍と考えられた.手術的に20mlの膿が吸引された.脳膿瘍の原因となる1次感染巣は,詳しい検査にても発見されなかった.

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