1995 年 18 巻 5 号 p. 538-544
小児気管支喘息患児末梢血リンパ球をダニ(Dermatophagoides farinae; Df)抗原で刺激すると添加したDf抗原の濃度依存性にinterferon-γ (IFN-γ)産生能の低下が認められた.これに対してDf抗原に感作されていない健康児末梢血リンパ球をDf抗原で刺激してもIFN-γ産生能の有意な変化は認められなかった.健康者リンパ球にリコンビナントinterleukin-10 (IL-10)を添加するとIFN-γ産生能は有意に抑制された.さらに患児リンパ球のDf抗原刺激により低下したIFN-γ産生能は抗IL-10抗体処理にて有意に回復した.以上よりDf抗原刺激の際のIFN-γ産生に関してIL-10が調節因子の一つとして作用することが示唆された.