日本臨床免疫学会会誌
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婦人科悪性腫瘍におけるCytotoxic T lymphocytesの誘導条件の設定とその臨床応用
津田 浩史梅咲 直彦
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1992 年 15 巻 4 号 p. 362-369

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抄録

In vitro sensitization (IVS)を用い自己癌細胞に対し強い細胞障害性を持つcytotoxic T lymphocytes (CTL)を大量に誘導し得る条件につき検討するとともに,婦人科癌患者4例に対しその臨床応用を試みた. CTL誘導は婦人科癌患者8例を対象とし,患者単核球とMMC処理癌細胞との前培養後rIL 2を添加して行った.その際(1)培養時のrIL 2濃度の検討では0.02, 0.2, 2.0U/mlまでは細胞障害性,細胞増殖率は上昇傾向を示したが,それ以上の濃度では変化がなかった. (2)CTL感作時の癌細胞濃度は上昇させるに従い,増殖率,細胞障害性は上昇した.以上CTLの誘導条件として培養時のrIL 2濃度は2U/ml, CTL感作時の単核球:癌細胞は10:1が良好な結果となった.また臨床応用の検討では癌性腹膜炎症例に対しては腹水消失,腹水細胞診陰性化,腹水減少等,全例である程度の効果が認められたが,固形腫瘍の縮小には至らなかった.

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