日本臨床免疫学会会誌
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尿細管性アシドーシスに基づく偽骨折を呈したシェーグレン症候群の1例
河野 通史宮田 亮大本 晃裕松山 隆治佐藤 幹弥
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1988 年 11 巻 6 号 p. 659-664

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抄録

尿細管性アシドーシス(RTA)に基づく偽骨折を呈したシェーグレン症候群(SjS)の1例を経験した.症例は38歳女性で,右大腿部痛と歩行困難により市立札幌病院へ入院した.右大腿骨X線写真にて偽骨折像を認め,骨シンチグラムでは,同部および両側肋骨部に多発異常集積像を認めた.代謝性アシドーシス,低カルシウム血症,低リン血症,高アルカリフォスファターゼ血症を呈した.塩化アンモニウム負荷試験で,尿酸性化能の著明な低下を認め重曹負荷試験で排泄率2.1%であり遠位型RTAと診断した.乾燥性角結膜炎および慢性唾液腺炎を認め, SjSに伴うRTAにより骨軟化症を起こし偽骨折をきたしたと考えられた.重曹と1α-OH-D3の投与にて代謝性アシドーシス,偽骨折の改善をみ,骨痛の消失をみた. SjSに偽骨折を伴う症例は非常に稀であるが注意を要する合併症であり報告する.

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