日本臨床免疫学会会誌
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Adult T-cell leukemia患者の病型と血清adenosine deaminase isoenzyme
坪井 泉綾部 光芳池田 柊一市丸 道人横山 三男
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1988 年 11 巻 6 号 p. 607-614

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抄録

Adenosine deaminase (ADA)とpurine nucleoside phosphorylase (PNP)は,プリンサルベージ系の酵素である.我々は,血清中のADA isoenzymeであるADA1とADA2およびPNP活性を指標にadult T-cell leukemia (ATL)患者のなかで,急性型9例,リンパ腫型6例,慢性型10例,くすぶり型3例およびHTLV-1キャリアー21例を対象に測定した.健常人86例の血清について,コントロールとして測定した.
ATL患者およびキャリアーでは,健常人に比べてADA isoenzymeおよびPNP活性値は上昇していた.慢性型のATLでは, ADA1の活性が5.1±2.3に比較して,急性型では12.4±4.8 (P<0.01)およびリンパ腫型12.8±5.9 (P<0.05)で,いずれも有意に高値を示した.くすぶり型とキャリアーのADA1は,慢性型に比べて有意差が認められなかった.キャリアーのADA2活性に比べて, ATL患者では有意に(P<0.05)上昇した. PNP活性は,リンパ腫型(3.2±2.9)および慢性型(5.1±2.3)に比べて,急性型(8.3±4.0)は有意に(P<0.05)高値を示した.患者血清中のADA isoenzymeおよびPNP活性値は, ATLの疾患を反映していると考えられた.
これらの酵素活性値を測定することにより, ATLの病型の把握,予知および治療のモニターに応用することで有用である.

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