日本臨床免疫学会会誌
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血漿交換療法とパルス療法が奏効した悪性眼球突出症の1例
大野 雅子佐藤 由起夫橋本 長吉渡辺 一雄西間木 友衛森藤 隆夫粕川 禮司丸本 達也
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1988 年 11 巻 4 号 p. 399-403

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抄録

血漿交換療法とステロイドパルス療法の併用療法が奏効した悪性眼球突出症の1例を報告する.患者は56歳男性,抗甲状腺剤により甲状腺機能は正常化したが,眼球突出,著明な視力低下(0.01)が出現,球後視神経炎を伴う悪性眼球突出症として,ステロイド剤の球後注射と経口投与(prednisolone最大100mg/日)を受けた.しかし,改善傾向がみられなかったため,血漿交換療法(4回/2週)とパルス療法(methylprednisolone 3,000mg/3日)の併用療法を施行したところ,著明な視力回復(0.8)と眼球突出の改善(17→15mm)があり, CT像でも外眼筋肥厚の消失が認められた.血清学的パラメーターでは,抗TSHレセプター抗体は64.5%から10%以下に低下し,血清IgGも420mg/dlから780mg/dlに回復, OKT4/OKT8比も上昇した.以上の結果から,血漿交換療法とパルス療法による免疫異常の是正により,外眼筋の肥厚が消失し,視力が回復したものと推定された.

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