2020 年 51 巻 3 号 p. 205-208
嗅覚受容体が香気分子を認識することが香気を感じる出発である.この認識において重要な要因として化合物の構造がある.桃の香気成分であるγ-ラクトンにおいてはそのラクトン環構造が重要な要因であると推定される.そこでそのラクトン環構造に着目した.比較対象として,ラクトン環を構成する結合の切断部位を変えた鎖状エステルを合成し,ラクトン環と側鎖の炭素鎖長の香気への影響について検討した.その結果,エステル結合とこれに隣接する部分構造が化合物の香気発現にとって重要な要因であることを見出した.