におい・かおり環境学会誌
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技術論文
馬鈴しょでん粉工場の排水から発生する悪臭の実態調査
樋口 隆哉関根 雅彦今井 剛山本 浩一
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2014 年 45 巻 6 号 p. 429-438

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抄録

馬鈴しょでん粉工場における排水の水質および悪臭発生状況の実態調査を2007年7月から2008年5月にかけて行った.その結果,浸透池に貯留されたデカンター排水やセパレーター排水の臭気指数は43~51と高い値を示した.特にデカンター排水は有機性汚濁分が高濃度であり,浸透池での貯留時間の経過とともに嫌気的分解が進行するために悪臭を発するようになると考えられた.浸透池の風下側周縁部では低級脂肪酸主体の強い腐敗臭が感知され,臭気指数の最大値は32と高く,周囲への広範な影響が懸念された.貯留水を畑地に散布した直後の臭気指数は最大で25であり,畑地周辺への影響が懸念されるレベルであった.排水から発生する悪臭成分のうち,ノルマル吉草酸,イソ吉草酸,ノルマル酪酸が現場の臭気に大きく関与していると考えられ,これらの排水中濃度から推算した臭気指数が現場の臭気指数を相対的に評価する指標となり得ることが示唆された.

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© 2014 (社)におい・かおり環境協会
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