日本内科学会雑誌
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Evidence-based Medicineの手順と意義
福井 次矢
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1998 年 87 巻 10 号 p. 2122-2134

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抄録

1990年代に入って提唱された「信頼できる最新データに基づいた,理に適った医療」であるevidencebased medicine (EBM)は, (1)臨床上の疑問点抽出, (2)信頼性の高い結果(エビデンス)を示す文献の効率の検索, (3)臨床疫学と生物統計学の原理に則った,文献の批判的吟味, (4)得られたエビデンスの患者への適用性の判断,という4段階の手順から成る. EBMの主な活用場面は, (1)個々の患者での疑問点への対応,それに(2)頻度の高い臨床上の疑問点についての診療ガイドライン作成,である. EBMに則った診療を行うことで,入院患者については確固としたエビデンスに基づいた臨床判断を下す頻度が高くなった,診療ガイドラインを用いることで医師の診療行為だけでなく患者アウトカムも改善した,などのデータが報告され,医学教育にも大きく取り入れられつつある.世界的な規模でEBMが普及することにより,客観的な臨床データを重視した患者指向の医療が,今後ますます求められることになろう.

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