1993 年 82 巻 8 号 p. 1172-1176
老人病院での院内感染の大部分は,慢性感染症例の菌交代現象,あるいは終末感染として存在する.しかし,免疫不全例,大手術後,中心静脈内カテーテル留置例においては,感染を契機に重篤な経過をたどる例がある.従って,感染防止対策として,通常の清潔動作の他,易感染例の逆隔離が実際的な対応といえよう.また,特別養護老人ホームでは,利用者のADLは低い例が多いものの,病態は安定しており,手洗いの励行,清掃の徹底により対応でき,感染者の個室隔離は必要としない.