1988 年 77 巻 11 号 p. 1726-1730
症例は37才,女性. 21才より慢性関節リウマチにて治療中,蛋白尿持続するため入院.関節変形,関節痛,心肥大,肺野乾性ラ音,下腿浮腫あり.腎機能障害を伴うネフローゼ症候群,出血時間の延長と貧血,便潜血陽性,全肺野に網状影を認めた.入院中,激しい排尿痛を伴う治療抵抗性の膀胱出血をきたした.これを契機に,発熱,イレウス,消化管出血を発症,播種性血管内凝固を合併,さらに急性腎不全,呼吸不全,肝不全を併発,多臓器不全の状態となり,脳出血にて死亡.剖検で膀胱を含む全身諸臓器にアミロイドの沈着がみられ,免疫組織学的にアミロイドA (AA)であることが確認された. AAタイプのアミロイド沈着による膀胱出血の予後が重篤であることが示唆された.