日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
アミロイドA蛋白の沈着による膀胱出血を契機として多臓器不全をきたした慢性関節リウマチの1剖検例
佐藤 薫岡村 建名西 史夫保利 敬小野 山薫藤島 正敏近藤 正一
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 77 巻 11 号 p. 1726-1730

詳細
抄録

症例は37才,女性. 21才より慢性関節リウマチにて治療中,蛋白尿持続するため入院.関節変形,関節痛,心肥大,肺野乾性ラ音,下腿浮腫あり.腎機能障害を伴うネフローゼ症候群,出血時間の延長と貧血,便潜血陽性,全肺野に網状影を認めた.入院中,激しい排尿痛を伴う治療抵抗性の膀胱出血をきたした.これを契機に,発熱,イレウス,消化管出血を発症,播種性血管内凝固を合併,さらに急性腎不全,呼吸不全,肝不全を併発,多臓器不全の状態となり,脳出血にて死亡.剖検で膀胱を含む全身諸臓器にアミロイドの沈着がみられ,免疫組織学的にアミロイドA (AA)であることが確認された. AAタイプのアミロイド沈着による膀胱出血の予後が重篤であることが示唆された.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top