日本内科学会雑誌
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ヒトフィブリノゲンのプラスミンによる初期分解産物“fragment A”め研究
単離法,性状, radioimmunoassay法による測定と臨床的意義
高木 皇輝
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1977 年 66 巻 6 号 p. 621-632

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抄録

ヒトフィブリノゲンをプラスミンを用いて分解した時に,最も初期段階に生じる断片の一つであるペプタイド“fragment A”を単離した. fragmeat Aの分子量は約22,500で,免疫電気泳動法でβ-領域に泳動された.アミノ酸組成はグリシン,セリン,スレオニン,プロリンの含有量が高く,疎水性アミノ酸の含有量がきわめて低い特徴がみられた. fragment Aは抗フィブリノゲン血清と反応せず, fragment Aの抗血清はフィブリノゲンと反応した. radioimmunoassay法による正常成人血清中のfragment A濃度は3.57±1.62μg/mlで,各種疾患についての測定ではとくに急性白血病,悪性腫瘍,脳血管障害,腎不全,全身性エリテマトーデス,敗血症例で高値が認められた.循環血中のfragment Aをとらえることによりin vivoにおけるfibrinogenolysis,またはfibrinolysisの病態生理を解明するのに役立つものと思われる.さらに線溶能の増減をきたす各種疾患においてその臨床的意義が高いものと思われる.

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