日本内科学会雑誌
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本態性クリオグロブリン血症の1剖検部
水上 陽真島田 馨鈴木 秀郎
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1974 年 63 巻 5 号 p. 459-465

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抄録

本態性クリオグロブリン血症は極めて希な疾患であるがその病態生理にかんしてはいまだ詳細な知見が殆ど得られていない現状にある.本例は67才の女子で,レイノー症状,下腿発疹,関節痛をもつて発症しCRPが寒冷中で異常高値を示したことからクリオグロブリン血症を指摘されプレドニゾロン投与にて血清クリオグロブリンの減少を認めたが末期に急性腎不全を呈して死亡した.臨床的および剖検所見から慢性関節リウマチ, Sjögren症候群,肝硬変症などは否定され,本態性クリオグロブリン血症と診断された.クリオグロブリンの組成はIgGとIgMであり,これらはimmune complexであつた. L鎖型はκ型であつた.腎糸球体でメサンジウム基質の増加,基底膜の肥厚,メサンジウム細胞の萎縮を認め,電顕所見では墓底膜およびメサンジウム基質の肥厚増加を認め,これらにimmune complexと思われる沈着物を認めた.われわれは本例も含め既報の本症腎病変についてまとめ考察を加えた.

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