日本内科学会雑誌
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中鎖脂肪酸トリグリセリドが有効であつた総胆管結石症に肝硬変症を伴つた症例
北村 次男中川 史子堀内 成人清永 伍市乾 久朗
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1970 年 59 巻 7 号 p. 628-633

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抄録

46才の男. 33才ころより発熱,右下肋痛,黄疸の典型的な胆石発作をくり返えし,内科的な治療により一時軽快していた.約2年前より発作が頻発するようになつた.腹腔鏡と肝生検で肝硬変を発見,炎症症状も残存するためゾンデ療法を主とした内科的治療を行なつたが軽快しなかつた.食餌脂肪源としてトリオクタノインを33%に含有する粉末(以下MCT末と略)を1日120G与えたところ,体重が46.5kgから4カ月目には53.5kgと著明に増加した.胆石発作も3力月間は全く発生せず,その後1カ月に1~3回の発作が見られたが, MCT末投与前に比してその頻度は少なかつた.血清アルカリフォスファターゼ値もMCT末投与7カ月目から正常範囲になつた.この時点で再度腹腔鏡検査を行なつたところ肝硬変は前回とほゞ変らず,同時に行なつた直接胆のう造影により総胆管結石を確認し,その摘出に成功した.

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