日本内科学会雑誌
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Pyridinolcarbamateによる閉塞性動脈硬化症治療の趾尖容積脈波による解析
本宮 武司
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1970 年 59 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

閉塞性動脈硬化症の患者47名に3週間の偽薬期間(placebo washout period)の後にpyridi-nolcarbamateおよびplaceboを各10週間double b1ind crossover法にて投与し,その成績を趾尖容積脈波のcrest timeを用いて比較した.判定の基準は本実験に先だつて行なつたcrest timeの短期間の自然変動の標準偏差値, SD 0.017秒の約4σにあたる0.07秒以上の短縮を改善,延長を悪化とした.全47例中23週にわたる比較実験を完了した症例は22例であつた.結果はpyridinolcarbamate治療では改善が44肢中8肢(18.2%),不変36肢(81.8%)で悪化はなく, placebo治療では改善はなく,不変は44肢中37肢(84.1%),悪化は7肢(15.90)であり, pyridinolcarbamate治療はplaceboに比較して有意にcrest timeを改善した(p<0.005).脱落した25例についてもpyridinolcarbamateがplaceboよりも優れていた.副作用にかんしては両治療間江本質的な差は認められなかつた.以上の所見はpyridinolcarbamateの閉塞性動脈硬化症治療における有用性を支持するものである.

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