日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
水俣地方に発生した原因不明の中枢神経疾患の病因に関する研究
第2報尿中水銀量
三隅 博
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 49 巻 8 号 p. 1039-1049

詳細
抄録

水俣病の原因は疫学的・臨床的・病理化学的等種々検索の結果,最近に至り或種の有機水銀にあると考えられるに至つた.著者は本病と水銀との関係を明らかにする為に,本病入院患者の尿中水銀量をヂチゾン抽出によるジエチルジチオカルバミン酸銅法により測定した.その結果,本病患者では対照よりも明らかに尿中水銀量が増加していた.しかも発病後の経過月数の短い者程尿中水銀量が増加している傾向を認めた.又治療の目的で従来他の金属中毒の解毒剤として知られているBAL・EDTA,及び肝庇護・代謝改善剤たるチオクト酸を投与し,これ等薬剤の本病に対する態度を追求した. BAL・EDTA投与では約半数の患者は投与後半から投与中止後にかけ尿中水銀量の増加を認めた。一方チオクト酸投与2例は共に投与中尿中水銀量の減少を認めた.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top